私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

挿絵がほしい

学期末に夏目漱石の「こころ」を教えた。

配布するプリントには、コミックから引用したイラストを使用した。

そうしないと、登場人物がどんな服装で、どんな風景なのかがさっぱりわからないから。

ドラマ「坊っちゃん」も観せたが、あれも風俗理解になかなか良かった。

 

名作と呼ばれる作品を読むものの、明治大正の生活がわからないとイメージが出来なくて苦労する。

昔の人たちには当たり前だったことがわからないから、現代人の我々には余計にハードルが高くなってしまっている。

児童向けの新書には積極的に現代風のイラストがふんだんに添えられるようになっている。

大人の文庫にも、(万人受けするテイストの)挿絵を少し、入れてもらえないものか。

明治150年記念、とか言って。

「コンビニ人間」と「影裏」

芥川賞受賞作!…を読んだことがなかった。難しそうで。

 

コンビニ人間」を先に読んで、現代の人間の在り方の異様さを突きつけられて驚く。

素晴らしい作品は過去にたくさんあるからそれを読めば良い、と思っていたけど、変わりゆく世相を反映することは、今生きている現代の作家にしか出来ないのだ。

 

「影裏」も期待して手に取った。(電子版だが)

コンビニ人間ほどの衝撃がない。

南部藩ではない岩手県出身なので、作中の盛岡弁が合ってるのか間違ってるのか、とにかく違和感で引っかかる。

最後に出てくる父親は、どんな形であれ、息子の死を受け入れない、逆に言えば生きていてほしいと切実に願っている、ということだろうか。いびつな親子の絆?

正直、ちょっとよくわからなかった。

 

ただ震災前後で文学はやはり変わるんだろうな、ということは「影裏」の受賞から見て取れた。年月をかけて、これから徐々に、文学作品として世に出てくるのだろうな。

 

コンビニ人間

影裏 第157回芥川賞受賞

 

スマホを捨てよ、本を読もう

今朝の朝日新聞に、スマホを使う時間が長すぎると大人は批判するけど、スマホで新聞も読めるし、良いじゃないのよという若い方の投書があった。

 

私も無意識に相当な時間を費やしていることがある。

スマホタブレットがあれば一日中眺めていられる、確かに。

電子書籍も読めるし、何でも出来る。

だから、仰ることはわかる。

 

言いたいのは、そうして仕入れた情報を自分の中に落とし込んで、じっくり考えてみてほしいなということだ。

ネットサーフィンで探すものはおそらく、「正解」だ。

気になる疾患があって、これは何だろうと調べる。

人間関係に悩んで、対処法を探す。

「間違い」たくない。

 

美味しいレシピならばいざしらず、自分のことはオンリーワンで、似たケースはあってもそれはあなたのことではない。

だから、自分でどうするべきか、じっくり考える時間が必要だ。

それにはスマホを握りしめていては、ダメなのだ。

間違っても良いじゃない。

 

紙の本は検索機能がなくて不便だけれど、こういうことかなあと想像する余地を残してくれる。

そして顔を上げて、いま周りで起こっていることを自分の肌でしっかり感じて欲しい。

大人が若い人たちに求めるのは、そういうことだと思う。