私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

「ことばへの旅 上」(やっと)読了

分量がやけに多い、全然進まないと思ったら、元は3冊の本だったらしい。

じっくり読むのには大変良い本だった。

名言から哲学する、という造りだ。

著者の森本氏の体験や経験を重ね、とても易しい言葉で語られるので、難しい内容も腑に落ちる。

しかしこの方、世界の飛び回りぶりも大変なものだ。

哲学は机上だけで生まれ得ないし、理解し得ない。

 

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 スイスの哲学者ピカートは、こう語っています 。 ─ ─わたしには静寂が必要です。それはわたしのぜいたくです。これだけは手放すことができません。食物も、いや眠りすら放棄できても、静寂だけは手放すことができません 。わたしには人びととラジオの騒音からへだてられた静寂さが必要なのですす。

 

 

本を読むのに 、何よりもたいせつなことは 、ゆっくり読むということである 。(エミイル ・ファゲ)

 

 

「たまたま富を手にした場合、多くの人が手にするのは、さまざまな不幸からの解放ではなく、より大きな不幸への転落である 」からです。だから、彼は言います。「水とパンさえあれば私は身体の快楽を身にしみて味わうことができる 」これらのことばからもわかるように、エピクロスの考えた 「快楽 」とは、肉体的な快楽ではなく、もっぱら精神的快楽でありました。むろん、彼は、肉体的な快楽を全面的に否定しているわけではありません。 「どんな快楽も、それ自身悪いものではない 」と、彼は言います。けれど、肉体的快楽の多くは、その快楽の何倍ものわずらわしさをもたらす、と言うのです。そして、それによって精神がかき乱されてしまうから避けるべきなのだ、と。(エピクロス)

 

 

 苦しみにあっても心を乱さず、楽しみにあっても執着を持たず、貪りや、おそれや、怒りを離れた者は 「知恵の定った者 」と呼ばれる 。「バガヴァッド・ギーター」

 

 

 日本人のユートピアとは、「おだやかな月の光 」なのであり、「遠い潮騒 」なのであり、「時計があったって 、なくたって 、この一日にはかわりがないじゃないか 」という自然にとりまかれた日々、自然とリズムをともにする、そうした生活への郷愁だと言っていいでしょう。そして、それは、いまの世の日本人のなかにも、変わらずに生きつづけている理想郷なのではないでしょうか 。(小川未明)

 

 

 花はなにもさかりにだけ鑑賞するものではない。月は皎々と照り輝いているときだけ、ながめるものではない。つまり、完全な姿だけが美なのではなく、むしろ、不完全な形こそ愛で賞すべきものだ、というのです。(兼好法師)

 

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確かな目を持った方の勧める本を読むのは、良質な読書への近道だ。

小川未明の童話なるものがとても興味深い。

それにインドの「マハーバーラタ」の一部という「バガヴァッド・ギーター」。

 

最近、現世に少し疲れ気味だった。しかしこの本を読むと、長い歴史の、広く深い思想の海を前に、砂浜に立っているような感覚を味わった。

まだ漕ぎ出してもいない。これからだ。

 

下巻を読み始める前に、口直しに他の本を読む事になると思う。

だいぶ、お腹いっぱいにしていただいた。

 

ことばへの旅(上) (PHP文庫)