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私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

「夏目漱石を読む」を読む

吉本隆明氏の「夏目漱石を読む」を読む。

講演録なので、繰り返しなどが多く、正直に言うと読みづらいと感じた。

 

しかし今日の大学での講義を聞いて、見方が少々変わった。

曰く

人は文字を持ってから、整然とした理論に慣れてしまった。

頭の中で論理を組み立てる段階から、文字取得以前と以後とでは全く異なってしまった。

 

吉本隆明氏がどのような講演をされていたのかは存じ上げないが、おそらく原稿なしで、自由に喋っていらしたのではと思う。

原稿無しで話すのはとても難しい。

 

私は小論文は好きだけれど、面接は昔から決して得意ではなかった。

言葉は、放たれた瞬間から私から旅立ってしまって、私は緊張の中、何から始めてどこへ向かっていたのかがわからなくなる。

だから苦手だったのだと気付いた。

 

出たとこ勝負の言葉・声によって表明されることは、しかし思いもかけない本音であったりする。

原稿に頼りすぎず、言葉・声を、もっと自分のものにする必要があるのかもしれない。

 

 

漱石作品の研究論文はほとんど読んだことがなく、取っ掛かりにと思い、図書館から借りてきた。

吉本氏の読み方が特別なのか一般的なのかわからないが、冷静な人だと思っていた漱石像が崩され、面白いと感じた。

本人はパラノイア、奥さんはヒステリーだったとか

英国留学で重荷を背負いすぎて、初期の創作活動で迷走しているなど。

 

一般的な論文とはまた違うかもしれないが、導入としては語り口が(まさに、語りであって)易しいので、作品の解釈の手助けの導入には良い本かもしれない。

 

そういえば、正確にはまだ読み終えていない。

氏曰く推理小説彼岸過迄」を読んでいる途中なので、読み終えてからまたこちらを読んでみたい。

 

夏目漱石を読む (ちくま文庫)