私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

「彼岸過迄」読了

吉本隆明氏が推理小説だと評していた作品。

冒頭の森本の話は何だったのかなという気もしたが、柄谷行人氏に解説によれば、「吾輩は猫である」に立ち返った写生文のスタイルだということ。

吾輩=敬太郎ならば、なるほど。

この作品、漱石は適当にタイトルを付けたようだが、もし内容に沿って付けるならば、「洋杖」も良いかもしれない。それほどまで、森本の登場とステッキは案外この作品の指針になっている。

一見脈絡がないのが、面白い。

 

明治時代の作品を読む上で、何を着ているのか、どんな髪なのか想像が難しくて苦労する。

昨今、コミック作品がやたらドラマ化するが、古い作品も忠実な時代考証でやってほしいものだ。

千代子と市蔵のあのシーンはなかなか良い画になりそうなのだが。

しかし芥川は立派に病んでいるが、漱石先生も密かに相当病んでいる。

 

漱石作品を読むと最近イチゴジャムを嗜みたくなるのは、余談。

次は「行人」。

 

彼岸過迄 (新潮文庫)

 

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