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私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

「これで古典がよくわかる」? いやわからない、でも面白い。

書籍

橋本治氏が源氏物語の全訳も手掛けた凄い人だと知り、手に取ってみることにした。

タイトルから想像する中身とは違った。

古典を本格的に勉強し始める前の、高校に入学する直前の春休みに読むのが最善かと思う。

苦手意識を持たなくて済むと思う。

 

古典は勉強を始めると、とにかく文法文法になってしまう。

中学で習った徒然草仁和寺にある法師」や平家物語「扇の的」くらいまでは面白く、暗唱もしたように思うが、その先の高校で習ったことは全然忘却の彼方だ。

 

橋本氏はこれらの古典は、日本語がまだ日本語じゃなかった時代の文章なのだから、わからなくて当然なのだ、と開き直る。

それを踏まえて、

万葉仮名で書かれた万葉集

女性の文字、ひらがなを使って男性が書いた「をとこもすなる」土佐日記

公的なものだが、和歌なのでひらがなで編纂された古今和歌集

ひらがなだけで女性が書いた、枕草子源氏物語

鎌倉という田舎で京の都に憧れた元祖オタク青年源実朝

漢文訓読のカンニング用に作られたカタカナ

カタカナ+漢字=和漢混淆文の平家物語方丈記

和漢混淆+ひらがな=「近代日本語の先祖」徒然草

などなどが面白おかしく紹介されている。

私の知ってる文学史と違う!というのが印象だが、非常に納得のいく説明だった。

文学は人が作ったものだという当たり前のことを、ハッと気付かされる。

 

古典は、とても人間くさい。

古今和歌集の序文として紀貫之が「やまとうたは ひとのこころをたねとして よろづのことのはとぞ なれる…」と書いているそうだ。

詠まずにはいられなかったと考えると、堅苦しく見えていた和歌が、途端にキュンとさせられるラブソングに見えるから不思議なものだ。

 

氏は、とにかく冒頭だけで良いから、暗唱せよと言う。

実践したい。

 

 

余談。「桃尻語訳 枕草子」が蔵書にあるはずだという夫を信じて探したが、どうしても見つからない。夫はしばらく悩んだ末に、「そういえば、買ったのではなくて図書館で借りたんだった」と言い出した。

実は夫の蔵書は大変多く、CDも3000枚?あるので、本棚を置ける壁が我が家にはもうない。

蔵書が多いのも考えものではないかと思うが、いかがなものか?

 

これで古典がよくわかる (ちくま文庫)