読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

大人も子どもも、今読むべき「モモ」

ミヒャエル・エンデ作「モモ」。

子どもの頃に (おそらく) 読んだ (はずだ、自信がなくなってきた。でも演劇を見たのは覚えている) が、たまらなく読みたくなって図書館で借りてきた。

モモのような人でありたい、時間を盗まれる大人のようにはなりたくない、と思ったことを思い出す。


1973年に書かれた作品だが、色あせない…というよりもむしろ、時代を追うごとにますますエンデの警鐘が大きく強く響くのではないか。


時間の節約に励む大人に自分を重ねるのはもちろんだが、「遊ぶ時間は無駄、社会の役に立つことを学ばなければならない」とされる作中の子どもの姿を、現代の私たちは、そんな馬鹿な!と もう笑うことが出来ない。

特に印象的なのはおもちゃのエピソードだった。時間の節約に励む大人たちが、子どもに構う暇がないので、高価なおもちゃをどんどん与える。

 

「とりわけこまるのは、こういうものは こまかなところまで いたれりつくせりに完成されているため、子どもがじぶんで空想を働かせる よちが まったくないことです。」

 

状況は43年前よりも悪化していると言わざるをえない。

 

作品の前半で、円形劇場で想像力をたくましく働かせて遊ぶ子どもたちが、なんと生き生きと描かれていることか。
先日、東京の下町でベーゴマを子どもたちに教える取り組みをテレビで紹介していた。
おじいちゃん世代の先輩が、子どもたちと一緒に勝負をしている様子はとても微笑ましく、ベーゴマを熱心に削る子どもたちも、良い表情だった。

 

「モモ」の中で大人たちが一生懸命働くのは、貯蓄した時間で「将来」楽しい余暇を過ごすためだ。
一方でモモは、「今」のきらめきを大切にして、楽しく日々を送る。

 

岩波少年文庫の対象年齢は「小学5・6年生」とあるが、ぜひ大人にも読んでほしい。

(岩波書店はぜひ大人向け文庫版も出版してほしい)
もっと小さい子どもに読み聞かせるのも素敵だと思う。
時間がたっぷりある私は晴耕雨読と言い訳して一気に読んでしまったが、毎晩少しずつのお楽しみというのもまた素敵だ。

明日が楽しみ、と思える気持ちは、案外そういうことから生まれるのかもしれない。

 

モモ (岩波少年文庫(127))