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私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

空腹時に読んではいけない「作家のごちそう帖」

当たり前のことなのだけれど、作家も食べて、生きていたのだなと肌で感じた。
図書館で借りた本なので、備忘録を兼ねて気になった箇所と、行ってみたいお店、食べてみたいものを抜粋してみる。とにかく、ひたすら美味しそう。

 

夏目漱石(超甘党)
神田淡路町「松栄亭」の洋風かき揚げ。
最後の言葉「何か食いたい」葡萄酒をひとさじ飲んで「うまい」。

 

正岡子規
柿が大好き。漱石から借りた(返さなかった)10円で松山から上京する途中、東大寺(←傍点)近くの宿屋の娘に柿を剥いてもらって食べている時に作った句が「柿くへば 鐘が鳴るなり法隆寺」。

 

永井荷風
浅草「どぜう鍋 飯田屋」柳川鍋、どぜう鍋。

 

志賀直哉
自作のすき焼き。
「ものを書く人間は衣食住には興味のあるほうがいいという説なんです。(略)なにか作品に色彩が出てくるんです。」

 

谷崎潤一郎
(さすが、ひいきの店多すぎ。)

 

芥川龍之介(スイーツ男子)
こだわりはなかったが、鰤の照り焼きに目がない。
上野広小路うさぎや」の最中が大好き。
店主に「こういうまんじゅうが食べたい」とイラスト入りリクエストの手紙も書いている。

 

川端康成
「銀座キャンドル」チキンバスケット。

 

林芙美子
住んでいた自宅は現存、記念館になっている。

 

太宰治
仙台「ブラザー軒」カツレツ。「惜別」の中で「硬くて靴の裏」と揶揄。歯が悪かった。店では現在時々出すことがある。
「アンコーのフライとそれから、卵味噌のカヤキを差し上げろ。これは津軽で無ければ食えないものだ。(「津軽」)

 

吉田健一
神保町「ランチョン」ビーフパイ(吉田健一考案)、仔牛のカツレツ

 

池波正太郎
「天ぷら近藤」

 

今日という日が人生最後の日かもしれない。
毎日、そう思って飯を食え、酒を飲め。
それでこそ男の食卓というものだ。(「池波正太郎指南 食道楽の作法」)

 

人間は、生まれ出た瞬間から、死へ向かって歩み始める。
死ぬために、生きはじめる。
そして、生きるために食べなくてはならない。
何という矛盾だろう。
これほどの矛盾は、他にはあるまい。
つまり、人間という生きものは、矛盾の象徴といってよい。(「日曜日の万年筆」)

 

向田邦子
「菊家」の水羊羹

 

生きる、食べる、食べる、書く、生きる。
これからは作中の「食事」にもっと注意を払って読んでみようと思う。

 

作家のごちそう帖: 悪食・鯨飲・甘食・粗食 (平凡社新書)