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私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

「デボラ、眠っているのか?」一気読み

書籍

森博嗣作品を読んだあと、世界が違う表情を見せる気がするのは、私が文系で理系がサッパリだからだろうか。
Wシリーズ第4作「デボラ、眠っているのか?」を読んだので雑感など記しておく。
まだ未読の方は、お読みになってからどうぞ。

 


今回の舞台は、「迷宮百年の睡魔」のその後の世界だ。モン・サン・ミシェルとおぼしき古い城。
前作では「女王の百年密室」のチベットを訪れたハギリ博士が、またもマガタ・シキに導かれるかのようにフランスへと飛ぶ。

 

人工細胞を取り入れて、老化さえしなくなったが、生殖が出来なくなった人間。一方で、人工的に作られた生命であるウォーカロンが、生殖機能を持つことが可能になりつつある。
淘汰されるのが人間なのは、理にかなっていると考え始めるハギリ。

ウォーカロンとはまた別に、ネットワークを介して「トランスファ」が現れる。それが「デボラ」。ナクチュのスーパ・コンピュータ(アミラ)を再起動させたことで、デボラが活動を始める。
S&Mシリーズから追っている読者には馴染みのある名前だ。
人間が淘汰され、ウォーカロンが台頭する…という構図ではなく、「共通思想」という、「ネットワークを通じてあらゆる(人間もウォーカロンも)インテリジェンスを統合する」というのが今のところの最終目標らしい。

 

森先生は、「すべてがFになる」「四季」を書いた時からこんなに壮大なストーリーを構想していたのだろうか。
「冬」は時間軸に置くならばどこに当たるのだろう。ハギリの考える(かつて犀川も考えた)「肉体のない、頭脳だけの世界(バーチャルでコーヒーが味わえるなら違いはない)」がWシリーズではもうすぐそこに迫っている。

 

昔読んだ、ライトノベルの「クリス・クロス」という作品は、バーチャル世界への恐怖心を煽る作品だった。現実世界と区別する唯一の手段が「匂い」だが、それさえももう信じられない、というような結末。

「ドラエもんの最終回」というあの有名な都市伝説を私たちは笑うけれど、はたして?


森博嗣作品から脱線してしまった。
先生のサイト(浮遊工作室 (ミステリィ制作部))によると、現在は7冊目を書いているところ、とのこと。
Gシリーズも気になりつつ、Wシリーズも姿が見えてきた感じで、展開がますます楽しみだ。

 

デボラ、眠っているのか? Deborah, Are You Sleeping? (講談社タイガ)