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私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

ジェイ・ルービン著「村上春樹と私」

村上春樹作品に人々が何故惹かれるのか。

私はそれを知りたくて村上作品を読んできた。

 

ジェイ・ルービン氏は「英語で読む村上春樹」出演されたこともある、村上作品を手がける翻訳者だ。

確か村上春樹作品の英語版の翻訳者は3人だったと思うが、英語版がなければ他言語版が出るのは難しいそうなので、村上春樹を「ハルキ ムラカミ」にした立役者のひとりと言える方だろう。

翻訳者は村上春樹をどう捉えているんだろう。

しかもルービン氏は夏目漱石芥川龍之介の翻訳もされていると知り、発売を心待ちにして読んだ。

 

印象としては、タイトルに「村上春樹」とは入っているが、村上春樹のパーセンテージはあまり高くないかな?という感じだ。

エッセイまとめました、という具合なので、ハルキ成分を求める人には物足りないかもしれない。

村上氏に実際に会って交流している人は数少ないだろうから、素顔を知るには良いだろう。

翻訳に対する村上氏のスタンスは「どうぞおまかせします」、だということはご本人の著作で知ってはいたが、本当にそんな感じらしい。

ある事象を多面的に見るのは面白く、感慨深い経験だと思う。

 

翻訳者の苦労話として読むのも面白いし、日本を外から眺める目を養うのにもこういった本を読むのは良いことだろう。

明治から昭和にかけての検閲についての考察を興味深く読んだ。

曰く、「検閲は有罪の自白である 。検閲は権力者が自分の権力が ただの言葉や考え によって覆される可能性を認めているということを立証するからである 。」

ペンは剣よりも強しという。

そういえば特定秘密保護法が施行された日本。どこへ向かうのか?

思いがけず考えさせられた。

 

村上春樹と私