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私設Blog「黒曜石の図書館」

本、言葉、文化にまつわるエトセトラ。

「陰翳礼讃」と ゆく年2016

「陰翳礼讃」で今年の読書は終了となった。
(「女のいない男たち」も読んだけれど再読だし、感想はまた今度)

昔「春琴抄」あたりは読んだことがあり、谷崎潤一郎はちょっと耽美がすぎる変態文豪というイメージで食わず嫌いだった。しかし、「文豪失格」で谷崎を親しみやすく感じるようになった。
食通で、美的感覚に優れた、ちょっと変態のおっさんだとわかった。(大差ない)
もっと読んでみたい。


日本の美は仄暗さと共にある、という主張だが、妙に納得する。
というのも、つい先日旅行で佐賀県を訪ねた。
唐津市にある国指定重要文化財の「旧高取邸」はこの本を読んでから見ればよかったと後悔している。
儒学者の家出身ながら、肥前の炭鉱王となった高取伊好の邸宅で、なんと家の中に能舞台がある。
http://www.karatsu-bunka.or.jp/kyutakatoritei.html
欄間に射し込む日光を影絵のように室内の壁に映したり、板戸に描かれた絵に金をあしらうなど、陰影の美しさを考え抜いた大変美しい造りになっていた。
撮影禁止だったのであまり気に留めなかったが、襖絵などの保護のためもあろうが、そういえば室内はかなり薄暗かった。

今夜は大晦日。紅白はさておき、私は毎年「ゆく年くる年」を楽しみにしている。
眩しいほど賑やかな紅白の舞台から一転して暗い中に鳴り響く除夜の鐘。
一年が終わるなあと実感する。
なるほど残念なのは、引きの画面で暗い寺の建物が映った後、煌々と明るい本堂内部の様子が映ることかもしれない。
本堂も暗い方がしっくりきそうだ。
うまく中継に映らなくても私は困らないから、ひとつ、谷崎式でやってもらえまいか。

やっと大厄の後厄が終了するが、どうやらまた2017年になると次の前厄が控えているらしい。気をつけるべき年齢だということなのだろう。

また良い年になりますように。